メガネを外したその先に

テキストを仕舞いながら、鞄の中にあるおかきに手を伸ばす。


「先生」

「ん?」


今にも破裂しそうな程に、大きな音を響かせる鼓動。


「これ…」


恐る恐る差し出した手は震えていて。


「甘いの嫌いって言ってたから、今年は塩っぱい物にしてみたんだけど」


言い訳がましい理由を聞いた龍弥先生が、フッと笑みを溢した。