メガネを外したその先に

「なんで、ですか?」

「…甘い物、苦手。」


昨年、私に向けられたものと同じ断り文句。


「でも、もらうだけもらってあげてよ!先生」


一緒にいた女子生徒の一人が、必死にフォローする声が聞こえてくる。


「…もういいよ、時間取らせてごめんなさい」


友人の声を遮った彼女は、大人しくチョコレートを差し出していた手を下げた。

龍弥先生だけをその場に残し、こちらに歩いてきた彼女たちが私の真横を通り過ぎていく。