メガネを外したその先に

グラス五杯程のお酒を飲み切って席を立ち上がると、思いの外足元がふらついた。

初めての感覚に千鳥足になりながら、回らない頭でお会計を済ませお店を出る。


「ありがとうございました」


年齢も近そうな居酒屋のバイトくんに見送られ、駅までの道をふらふらと歩く。


真っ直ぐ歩いているつもりなのに、足元がぐらぐらと揺れている。

見上げた先の夜空に浮かぶ月も、何だかぼやけて満月のように見えた。


いつもはあっという間に着く道のりだけれど、今日はやたらと長い。