メガネを外したその先に

「最近、こういう雨多いな」

「日傘兼用の傘ならあるよ」

「少し待ってれば止むだろ」


先生と相合い傘できるチャンスかと思ったのに、って言葉は静かに飲み込む。


「昔、帰り道に先生が傘入れてくれたことあったよね。覚えてる?」

「あぁ、覚えてる」


“そんなことあったっけ”って言われると思ってたのに、先生の記憶の中にも同じ思い出が残っているということが知れて素直に嬉しい。


「私以外の子も、傘に入れたことある?」