メガネを外したその先に




バイト先の最寄駅にあった居酒屋に入り、人生で初めてビールを頼んだ。

運ばれてきたビールを一気に流し込んでみたものの、あまりの苦さに思わず顔を顰めた。


「…まず」


全然美味しくない。

世の中のサラリーマンは、なぜこれを生き甲斐と言わんばかりに飲めるのだろう。


頼んでしまった手前残すわけにもいかず、お通しの枝豆をつまみながらちょびちょび口を付けてグラスの中身を減らしていく。