メガネを外したその先に

即答しない私の肩を早紀が突き飛ばしてきて、ふらついた私はその場に尻もちをついた。


「ちょっと可愛いからって調子に乗りやがって…この性悪女っ!」


言葉を紡ぐ暇さえ与えてくれない。

きっと今の私が何を言っても信じてもらえないし、彼女たちの中で私は今や悪者以外の何でもないのだと思うと泣きそうだ。


「行こう、桃」


早紀の後ろで真っ赤な目を潤ませていた桃と一瞬目が合ったけれど、すぐに目を逸らされる。

私の前から立ち去っていく二人の足音を聞きながら、女同士の友情の儚さを思い知らされた。