メガネを外したその先に

「好きな人って、誰?」


“龍弥先生”だと正直に告げても、本気にしてもらえないだろうと咄嗟に思ってしまった。


言葉に詰まり、無言の時間が流れる。

ただ、気まずくて重たいばかりの沈黙。


「…困らせてごめん。」


何も言わない私に大智くんから謝罪の言葉が向けられて、それに対して私は首を縦に振ることも横に振ることもできなかった。


大智くんに背を向けて屋上を後にする。

階段を下りながら、無意識にため息が漏れた。