メガネを外したその先に

「ごめん、友達の彼氏とは付き合えない」


もっとやんわりと伝える方法もあったと思うけど、私の中でそれは揺るがない気持ちだったからはっきりと言葉で伝えた。


「桃とは別れるよ。長谷川の返事がどうであろうと関係なく、こんな気持ちで付き合い続けるのは桃にも悪いから。」


一見誠実にも聞こえる言葉。

でも、正直今はまだ桃とも別れていない状態でこんな風に告白してくること自体狡いと思ってしまう。


「桃と別れたとしても、私の返事は変わらない。私、他に好きな人いるの。…だから、大智くんとは付き合えない。」


“好きな人”として思い浮かべたのは、紛れもなく龍弥先生だった。