メガネを外したその先に

誰からかはわからなかったけれど、きっと相当な勇気を出して書いてくれたものだと思うから無下にはできない。


悪戯に話題にするのも違うと思い、早紀と桃にも打ち明けることなく放課後に屋上へ向かった。

この選択が、私の人生一番のミスだったと思う。


事前に早紀と桃に打ち明けていたら何か変わったかもしれないし、そもそも差出人もわからなかったのだから無視してもよかった。


重たい屋上の扉を開けると、初秋の風がふわりと私の髪を靡かせる。

扉の先に見てた背中がこちらを振り返って、その顔を見た瞬間に状況が理解できなくなった。


「…大智くん?」