メガネを外したその先に

「ダメではねぇけど」


先生を言い負かしてから、再度名前を呼ぶ。


「龍弥先生」

「…」


返事がない。


「龍弥先生」

「…何だよ」


二回目の呼びかけに返事をくれた龍弥先生。

凄く小さいことかもしれないけれど、こんな他愛もないやりとりをできるようになれたことが、今の私には堪らなく嬉しい。