メガネを外したその先に




「大橋先生いますか?」


放課後、職員室の扉を開けて先生の名前を呼ぶ。

私の声に振り返った龍弥先生が、席を立ち上がって私の元まで来てくれた。


「質問?」

「はいっ」


私の腕に抱かれたテキストに気付きそう尋ねてきた先生の言葉に首を縦に振ると、先生が私の一歩前を歩き出す。

先生の広い背中を追うようにして職員室と同じフロアにある空き教室に入り、いつも通り先生と向かい合う形で席に着く。