メガネを外したその先に

動揺する私とは裏腹に、平然と挨拶を口にする龍弥先生の対応は大人だ。


「お知り合いですか?」


龍弥先生の隣にいた女性が、悪びれもなさそうに龍弥先生の顔を覗き込む。


「はい、元教え子です」


龍弥先生の口から紡がれた言葉が、今も昔も私の胸を痛い程に締め付ける。


「えっ、凄い偶然ですね」


龍弥先生の言葉にそう返して笑う女性に、強く唇を噛み締めてしまう。