メガネを外したその先に

私からコーヒーを受け取り、カウンター席に腰を下ろす先生の後ろ姿を見つめる。

コーヒーを片手にするだけで絵になる先生は、いつだって完璧に格好良くて狡い。


時間ぴったりに遅番の先輩が来たので、レジを交代して更衣室へ向かう。


制服を脱ぎ、緩く止めていた髪を解いて巻いてきた髪をいい感じに手櫛で整えた。

リップを塗り直して香水を振りなおせば、少しはいつもより大人びた雰囲気を醸し出せている気がした。


「わっ、びっくりした」


ルンルン気分で更衣室の扉を開けた瞬間、すぐ横の壁に背中を預けるように小鳥遊くんが立っていて思わず声を上げてしまう。