メガネを外したその先に

「早く着いたから」


先生の答えは、いつも簡潔だ。


メガネ越しではない先生と視線が絡む。

ちゃんと“デート仕様”で来てくれたのだと思うと、仕事中にも関わらず頬が緩む。


「何?」

「ううん、何でもない」


注文を聞くまでもなく、コーヒー(もちろん砂糖とミルクはなし)をレジに打つ。


「ごゆっくりどうぞ」