メガネを外したその先に

大橋(おおはし)って彼女いないの?」

「知らない」

「今度聞いてみなよ」

「うん…聞けたらね」

「でも、女性経験多そうじゃない?」

「どうだろ、逆に童貞だったりして」

「やだやだ、先生のそういうの想像したくない」


二人の言葉を耳に挟みながらも、わざとらしく両手で耳をパタパタ塞ぐ。


「現実を知るのも大事だぞ」


早紀に諭されながらふと教室の前扉に目を向けると、桃の彼氏である隣のクラスの大智(たいち)くんがそこに立っていた。