メガネを外したその先に

「はい、元教え子です」

「えっ、凄い偶然ですね」


当たり障りのない回答に、雪乃さんが無邪気に笑う。

それがごく普通の反応で、やけに意識してしまっていた自分に罪悪感が芽生えた。


「ご注文はお決まりですか?」


レジ越しの長谷川も、淡々と仕事をこなす。


「ホットコーヒー2つ」


手早くレジを打ちお釣りを出し、コーヒーを二つ用意する長谷川の姿は俺が見たことのない姿で、会わなかった間の時の流れを感じた。