メガネを外したその先に

私の言葉に振り返った龍弥先生の姿が窓ガラス越しに確認できて、私も視線を先生へ向けた。


「そうだ、って言ったらどうすんの?」


私を試すような問い掛け。

未だに諦めきれていない私の想いを、鬱陶しく思っているのだろうか。


「それでも、私は…」

長谷川(はせがわ)だって、彼氏の一人や二人いるだろ」


苗字呼びに戻り、わざと私の言葉を遮った先生に胸が深く抉られる。

先生の気持ちは今も昔も私へ向くことはないのだと、現実を鋭く突き付けられた。