メガネを外したその先に




誕生日から一週間程が経過し、毎年恒例の文化祭がやってきた。

夏休み明けから毎日準備に明け暮れ、クラスや部活単位で一致団結した集大成みたいな雰囲気を醸し出されるのが苦手だ。


声を張り上げ、自分の所属するコミュニティの出し物へ招き入れようとする人たちを横目に廊下を歩く。

外部から来た人や保護者でも溢れかえっていて、人酔いしそうになりながら屋上へ続く階段を上る。


「ふぅ」


屋上は開いていないので、その手前で腰を下ろす。

騒がしい空間から少しでも離れられて、落ち着く。