メガネを外したその先に

「迷惑、かけたくなかったから」


日課になっていたLINEを何度か送ろうとしたけれど、その度に考え直して画面を閉じた。


「急に連絡途絶える方が心配する」


心配してくれたんだ、って。

こんな時なのに、先生の一言に喜ぶ自分がいる。


「うどんなら食える?」


龍弥先生の言葉に頷くと、“キッチン借りるぞ”と言った先生が買って来た食材で調理を始めた。

その後ろ姿をぼんやりと見つめながら、“料理までできちゃう先生は完璧すぎて狡い”と思った。