メガネを外したその先に

「…はい」

『部屋どこ』


前にタクシーで家の前まで送ってもらったけれど、部屋番号までは教えてなかったことを思い出す。


龍弥先生に部屋番号を告げ、何とかインターホンからエントランスの扉を開けて。

引き出しの中からマスクを引っ張り出し、先生が来る前にそれを装着して玄関の扉に向かう。


壁に支えてもらいながらふらつく足取りで玄関に扉を開けると、いつもと変わらない先生がそこに立っていて無性に安心した。


「せんせ…」