メガネを外したその先に

頭を少し傾けて、自分の手でさっき先生がしてくれたみたいに頭をポンポンと撫でてみせる。

龍弥先生の足の動きが止まったのが視界の端に映り、合わせて足を止めると先生の指先が私の額を弾く。


「いたっ」

「調子に乗んな」


額をさすりながら、先生を見上げてみる。

こんなこと一つでも先生との距離が縮んだ気がして浮かれてしまう私は、相当先生に惚れ込んでいる。


「また、飲みにいってくれる?」


私の問いかけに肯定も否定もしなかった先生だけど、聞こえているはずなのにスルーしたのは先生なりの“肯定”だと思えば、自然と顔がニヤけた。