メガネを外したその先に

龍弥先生の鋭い視線に怖気付いた男が、そそくさと私たちの目の前から立ち去っていく。


「飲み過ぎ」


男がいなくなるや否や、さっきまでゼロ距離だった私たちの間に空間が生まれた。


「送ってく」


引き止めるように、先生の服の裾を掴む。

初秋の空気は儚く、切なく、私たちを包み込む。


「せんせ、」


先生の切れ長の目の奥に、私の姿が映し出される。