二十歳の誕生日。

特別な予定もない私は、バイト先のカフェで仕事に勤しんでいた。


「お待たせしました。お次の方…」


“どうぞ”という続きの言葉が出てこない。

レジ越しに目の前に立った彼と視線が絡む。


龍弥(りゅうや)、せんせ…」


卒業式以来に呼んだ名前。

自分でも驚くくらいに声が震えていた。


「久しぶり」