「お方様!やりましたね。
若様のご誕生にございます」
良かった。
早くこの腕で竹千代を抱いてあげたい。
そんな私の願いが叶うことはなかった。
竹千代に近づこうとすれば
乳母の春日局がそれを阻止したのだった。
そんな悲しみに暮れる中
私は翌年に次男の国松を、
翌々年に五女の松を出産した。
どうしても離れなければいけなかった初子の定子、
早くに家を出た千、子々、勝、初、松の
五人の娘たち、
そして自らの手で触れることを禁じられた
長男の竹千代。
国松には七人分の思いや愛情も込めて
秀忠様を大切に育てていた。



