「別にそんなことどうでもいいですわ」


侍女たちにに対して発するそんな言葉とは裏腹に
実際は心配な気持ちの方が大きかった。


そんなある時、

女中たちの噂を耳にした。


「上様は愛する人が亡くなったばかりなのに
よく御台様に優しくできますね」


「本当に。

なのにあの御台の態度ときたら!

信じられませんわ」


耳を伺った。


真実を確かめるため私は必死になって
家茂様を探した。


ようやく見つけた頃には息が切れていた。


「御台か?どうしたんだ」


「家、茂さま..私と結婚する前に
愛する方が亡くなられたって本当ですか?」


彼は何も答えてはくれない。