「家治様は大人になって、

いつしか私のことが
嫌いになられてしまわれましたか?

もしそうなら私をここから突き落としてください。

家治様が大好きな私は
家治様のお荷物にはなりたくありませんから」


声は震えていたと思う、

勇気を出して家治様にそう伝えた。


言い終えた途端私の元へ走ってくる家治様。


私は覚悟を決めて無を瞑ったが
思ったような衝撃はこなかった。


ギュッ


「御台…!

今までそなたのことを突き放していて悪かった。

わしは御台を見るとお祖父様を
思い出してしまうと言う理由だけで、

そなたに酷いことをしていた。

お祖父様がくださった
人生最高のプレゼントであるそなたに、

わしはなんて酷いことをしてしまっていたんだ…

謝って許されることではないと言うことは
わかっているが、

もし良かったら許して欲しい。

また御台と共に楽しい日々を
送りたいと心から思っている」