「当たり前です。
私はどんなことがあっても
家治様を嫌いになんてなったりしません」
「明日謝りに行きなさい」
「はい」
次の日私は家治様の元へ向かおうとしたがもう出発していると言われてしまった。
なので来年まで持ち越しになってしまった。
けれど翌年になってもその次の年になっても、
家治様がいらっしゃる気配は一向にしなかった。
どうして…?
あの時私が酷いことを言ってしまったから?
もう婚約破棄になるかもしれない、
そう覚悟していた17歳の春に
私と家治様の輿入れが決定した。
けれど結婚しても幼少期のような
優しくて明るい家治様には戻らなかった。
むしろ段々と冷たくなってきている気がする。
そんなある日私はなんとか家治様を
城の天守の一番上まで連れて行き問いかけた。



