徳川将軍恋物語




「家治様!

久しぶり…会いたかった…!」


「… (フィッ!)」



 ーえっ?ー 



「家、治様…?」


「…」


家治様どうしちゃったんだろう…


去年会った時はこんなことされなかったのに


「家治様!

どうかなさったの?

家治様らしくないよ?」


「黙れ!

私以外のものが私を語るな!」


「こんな家治様なんて…私は大嫌い!」


そして、

部屋に戻ってお母様に事の経緯を話すと
叱られてしまった。


「いいですか、五十宮。

女はいつなんたる時も
主君である夫を支えなければなりません。

感情に身を任せて言葉を発してはいけないのです。

それに五十宮は家治様のことを
嫌いになったわけではないでしょう?」