「どうかなさったのですか?

…って、理子様⁉︎

お気を確かに!」


「理子が心配なら早く医者を呼んでこい!」


その時の吉宗の声は、

誰も聞いたことがないような低い声でだった。


しばらくして戻ってきた医者は、

理子の脈を図ると首をゆっくりと横に振った。


その瞬間その場にいた誰もが、

嫌な予感に包まれただろう。


「まことに残念ながら、
もう理子様は…」


「言うな…言うな!

それ以上は何も言うな…

もうわかっている、
しばらく1人にしてくれ…」