徳川将軍恋物語




そこから30年近くたった頃の春、

綱吉様が病にかかったと聞いた。


そして、

私の部屋に来た侍女は驚くべきことを言った。


「御台様。

綱吉様はもうそんなに長くはありません。」


心配で仕方がないが、

そんなことを言われても、

話しかけるなとまで言われた私には
どうすることもできまい。


「ですが私は綱吉様に嫌われてしまっています…

そんな私ができることは何もないでしょう」