いつしか、愛されたかった。
一度だけでもいいから娘として認めてほしかった。
いらなくてもいい、捨てないでほしかった。
美奈子と同じように私に微笑んでほしかった。
努力して認めてもらって、私を見てほしかった。
でもそんなこと叶うはずなんてなかったのだ。
突きつけられた現実は、棘のように鋭く舞花の心を抉った。

あの日、美奈子と対面して以降
舞花は部屋に篭もりきりになってしまった。
日光を遮断しただベッドの中で天井だけを見る日々
まるで廃人のようになっていた。
召使いである召使いの凛花は、舞花には何も助言はせずにただずっと隣にいて舞花の世話をしていた。
長年付き添っていた凛花には分かっていた。
あの人達には会いたくないと。
舞花が通っていた女学校初等部で出会った友人から
心配の手紙を送られ、舞花はただ『しばらくは学校に来れないかもしれない。』と書くことしかできなかった。
それくらい、心への負担が大きく支障が出てしまった。
心配させてしまったという自責の念からまた心が痛んでいき布団の奥深くに潜り込む。

痛くて痛くて仕方がない舞花の心。
それがある日突然壊れてしまった。
そして、舞花を父を見切る日でもあった。