こんな話に興味もないし、私を避けるような行動も気にる。
 愛想笑いにいい加減我慢出来なくなると、本題の内容を切り出していた。

「ところで、デザイン業界で変わったことは?」

 問い正すような言葉に、彼の顔色は一瞬にして真っ青に染まった。
 ライトブルー? スカイブルー? そんな綺麗なもんじゃ無い。
 その青さは何かをひたかくす、ダークなブルーだ。

 余りにも一色に染まるので、私の背後から青いライトにでも当たっているのかと思い、後ろを振り返るほどだった。

「そうですねー」 

 目を合わせることなく一点を見つめる彼の瞳は凄い勢いで動き出している。 言葉に困った彼の顔からは見たこともない量の汗があふれ出していた。

 今度は汗か。人間ってこんなに汗が出るんだー。

 上から何か滴っているのではないかと思い、彼の頭上を見上げていた。
 彼はハンカチで汗を拭きながらうつ向き、黙ってしまっている。

 やっぱりなにか有るんだ。とっさには誤魔化すことも出来ないじゃない。
 分かりやすい彼の態度に流石の私も可哀そうになると、最初とは違う態度の言葉をかけていた。

「実はまるっきり業界から声がかからなくて、ちょっとだけ心配でね」

 その言葉に彼は顔を上げたが、目が合うと言葉をためらっているようだ。

「お願い、教えて」

 気まづそうな表情に変わると弁解するように話し始めた。