「ねえ正。……医療施設の建築頑張って来て、今は気にしていないし、ズルいようだけど友達のことを考えると」

「本当に、旅立っても?」

「大丈夫よ。私も色々忙しいし……そお言っているでしょ」

「ありがとう。もらった手紙にも書かれていたけど。そうだ、最後の文書だけ……」

「最後の文書? あっあー頑張って行ってこいって励ましの言葉?」 

 私は改めて手紙を書き直し、正に送っていた。
 顔を見ると文句を言ってしまい、正論とも取れる言葉をかけてあげられないと思っていたからだ。
 当初の引き止める言葉などは、書くこともなく。

 私はアートデザイナーとしての、夢を叶えるため何年時間をつい足すかもしれない。
 だからお互いの夢が叶える事だけに、専念しようという内容を書いたものだった。
 綺麗事でつづった文書は、正の中で私が、いつまでも強い女性でいる内容になっていた。

「……正直に喜んでいいのか自分でもわからないし、あれから自分でも考えるものがあったんだ。自分の気持ちも大事にしたいけど、京子の言葉も大事にしたい」

 私は正のその言葉に心の中の何かが、崩れ落ちる様だった。
 それから私は、最後の晩餐のような気持ちで食事をしていた。
 数日後に旅経つことや、現地での活動内容など話す正だったが、心から向き合い対話することは出来ないでいた。