「今日はせっかく来てくださったのにすみません。それでは失礼します」
無表情で小さく頭を下げると、足早にその場を立ち去ろうとする。
その状況を見過ごすようにしている自分に気づくと、慌てるように彼女を引き留めた。
「ちょっと待って……しずくさん。これ、もしよかっら食べて。それと」
茜と食べようと思い購入していたアンパンの入った紙袋を手渡すと、急いでカバンからメモ紙とペンを取り出した。
「私の住所と電話番号。日本に戻ってくることが有ったら、連絡してって伝えてくれる」
書き終えたメモ紙を両手で彼女に差し出すと、その拍子に挟み込むように持っていたヒトデのペンを、彼女の足元に落してしまった。
「あっ」
ペンは彼女の靴の上に落ちると、その側で転がり止まる。
冷静な目でペンを追う彼女は、慌てることなく拾い上げてくれていた。
「ありがとう」
お礼の言葉をかけながら、手を差し出そうとしたが、彼女は手にしたペンを見て気にしている様子だった。
アンティークともとらえられるその姿を、好んだのだろうか? 唯一ある白い装飾に彼女は興味を示していた。
「この星型の印って」
「ヒトデのマーク? 奇妙だけど可愛いでしょ。多分外国製だと思うけど。それとも過去にデザインした試作品かしら? あっ、ごめん、ごめん。勤めている会社が、文房具とか何でもデザインする会社なんだ」
考え込むように見つめる彼女だったが、初めて微笑みを浮かべると安心するかのように語っていた。
「そうですか。ヒトデ……ですか」
「そう、ヒトデのペン。私のお気に入りなんだ」
その時、彼女が何を考えているのかは、わからないでいた。
ただ、大事そうにペンを両手で触れると、安心したような瞳でヒトデの印を見つめているように思えた。
無表情で小さく頭を下げると、足早にその場を立ち去ろうとする。
その状況を見過ごすようにしている自分に気づくと、慌てるように彼女を引き留めた。
「ちょっと待って……しずくさん。これ、もしよかっら食べて。それと」
茜と食べようと思い購入していたアンパンの入った紙袋を手渡すと、急いでカバンからメモ紙とペンを取り出した。
「私の住所と電話番号。日本に戻ってくることが有ったら、連絡してって伝えてくれる」
書き終えたメモ紙を両手で彼女に差し出すと、その拍子に挟み込むように持っていたヒトデのペンを、彼女の足元に落してしまった。
「あっ」
ペンは彼女の靴の上に落ちると、その側で転がり止まる。
冷静な目でペンを追う彼女は、慌てることなく拾い上げてくれていた。
「ありがとう」
お礼の言葉をかけながら、手を差し出そうとしたが、彼女は手にしたペンを見て気にしている様子だった。
アンティークともとらえられるその姿を、好んだのだろうか? 唯一ある白い装飾に彼女は興味を示していた。
「この星型の印って」
「ヒトデのマーク? 奇妙だけど可愛いでしょ。多分外国製だと思うけど。それとも過去にデザインした試作品かしら? あっ、ごめん、ごめん。勤めている会社が、文房具とか何でもデザインする会社なんだ」
考え込むように見つめる彼女だったが、初めて微笑みを浮かべると安心するかのように語っていた。
「そうですか。ヒトデ……ですか」
「そう、ヒトデのペン。私のお気に入りなんだ」
その時、彼女が何を考えているのかは、わからないでいた。
ただ、大事そうにペンを両手で触れると、安心したような瞳でヒトデの印を見つめているように思えた。



