「写真撮るぞー。」

親友で秀才の尾上が、カメラを構えたままそう声をかけてきた。


自分は本当に中途半端だ。


野球の才能もない。

勉強に秀でているわけでもない。


ただただ人生を浪費するばかりだ。


土門は、体育館の方を向いて思った。


卒業が悲しくて、ぐずぐず歩いてくるケンジ。

贅沢じゃないか。


しかしそんな贅沢な親友が、土門は大好きであった。