サトミはうつろな目で、右手にはめられた時計の針を見る。

もう、午前一時。


小さく息を吐いたそのとき、廊下の角を曲がって走ってくる人影に気がついた。


静寂の空間を切り裂くその影に、サトミは脅えるように床をじっと見つめた。

しかしその足取りは近づくにつれゆっくりとなり、そしてサトミの見つめる処置室の前の床の上で止まった。


サトミの心臓は高鳴った。


それを押さえ込むように、ゆっくりと目線を上に上げていった。