桜が舞っていた。



サトミは、先輩たちの最後の校歌を、ぐっと堪えながら聞いていた。

去年は漫然と聞いていたこの歌を、こんな思いで聞くとは思わなかった。


しかし今年は、悲しい気持ちで聞いていた。

目を涙でいっぱいにして聞いていた。


アリガトね、センパイ。


「最後なんだから、声くらいかけなさいよ。」

キリコは卒業生たちの一番後ろの席に立つ大きな背中を指差しながら、サトミの二の腕をつつきながらそう言った。


「わかってるよ。」

サトミはきっぱりとそう言った。


その顔を見て、キリコは満面の笑みで頷いた。