あの背中だった。

後輩たちとはなれた、たった一人ぼっちの影。


はるか外野の奥で走るその姿は、小さな小さな影にしか見えなかったが、間違いなくあの背中。

後輩たちの邪魔にならないように、隅っこをかりて行ったり来たりしているその姿。


サトミは、思わず両手で鼻と口を覆った。


どうしてそこまで頑張れるんだろう。

どうして、どうして、どうして。


でも、サトミはなぜか思った。


(よかった・・・。)



その両目には、涙が滲む。