大学の仲間と別れ、ぎゅうぎゅうの電車に押し込められてやっとやってきた最寄り駅。

吐き出されるように、お気に入りのブルーのワンピースをしわくちゃにしながらホームに降り立つと、そこには黒いかばんが置かれていた。


サトミは思わずそれにつまずいた。


するとそのそのサラリーマンが持つような黒い革のかばんは無残に転がり、中から手帳やら、ボールペンやらが飛び出て、ホームに散らばる。

あわててそれを拾い集めるサトミの背中には、夏の暑さの汗と冷や汗が入り混じって流れた。