サトミは、いつも一人ぼっちだった。


授業が終わって下るこの坂道も、うつむきぎみに地面を見つめながら、ただ歯をくいしばって重い足を引きずる毎日。

周りを笑いあいながら、リズミカルな足取りで歩いていく級友たちが、ひどく不愉快なものに感じられる。



その日は、風がつよい日だった。


サトミの長めで後ろで結わえた髪や、胸元で結ばれた薄いブルーのスカーフも、はげしく揺れていた。