牧村さんの家から500メートルほど離れた場所にある喫茶店に着くと、店の駐輪場に俺の心を踊らせる赤い単車が目についた。
「あ!マミさんの赤いCB」
「場所変えっか」
「!?」
「‥‥冗談だよ。泣きそうな顔すんな」
牧村さんはあまり気乗りしなかっただろうけど、俺の為に場所を変えずに入ってくれた。
「いらっしゃいませー。
カウンター席とテーブル席、どちらになさいますか?」
店員に尋ねられたその瞬間、
こちらに可愛い後頭部を向けるマミさんと向かい合わせに座る女が、牧村さんを見て大きな声を出した。
「あー!牧村だー」
「ともしび立ち入り禁止席で」
「はい?」
「こっち座れよー、おごっておごってー」
「‥‥‥」
いつも平常心な牧村さんが、苦笑いしてたじろぐ姿はレアだった。
「誰ですか、あれ」
「ともしびの初代。俺らの1個上」
「へえ‥‥」



