牧村さんとはあれ以来、ちょくちょく遊んでもらえるくらいの仲になっていた。
俺が地元で唯一、心を許せるのはこの人だけで、牧村さんだけは俺が野球少年から不良になってしまった経緯を全て知っている。
「今日って流しあるんすか?」
「ああ、土曜は毎週あるよ」
単車から降りた牧村さんにガソリンタンクを開けてもらい、給油を開始した。
「北帝連ってどっから出発してんすか?
あんな大部隊が待機してたら通報されません?」
「出発は近い奴ら同士でバラバラだよ。
時間だけ合わせてバイパスで合流してる」
「へえ」
「なにお前、入りたいん?」
「アハハ、ちょっと色々あって。
まだ迷ってんすけどね」
「ふうん」
KHの給油を終え現金を受け取ると、俺は一度店内に入って精算を済ませ、領収書を手に再び牧村さんの元へ駈け寄った。
「お釣りっす」
「やるよ」
「ラッキー」
「明日、昼過ぎにウチ来いよ」
「明日すか?」
「話聞いてほしそうだから」
「アハハ‥。
別にそこまで深刻な事じゃないんすけどね」
クスリと優しそうな笑みを向け、じゃあなと軽く手を上げて走り去る牧村さん。
こんな優しくてカッコイイ人を悪く言う都築さん達はどうかしてる。
「いらっしゃいませー。
レギュラー満タンすか?」
「だから先週も軽油って言ったっぺや!いい加減覚えろや兄ちゃん!」
「あ、失礼しましたー。
軽油満タン入るっぺよー」
「バカにしてんのかー!」



