シャワーは気持ち良かったけど、身体を綺麗にする意味が分からなくなっていた。
多分、ご飯を食べても同じ。どんなに美味しくても、食べる意味に疑問を抱く。
「丈が合うの無いから、短いデニムでいいよね。シャツとソックスはこの中から好きなの選びな」
『…ありがとう』
リビングのソファーに置かれた着替え。
彼女はきっと今、私は良い事をしている。と優越感に浸っているだろう。
「冷蔵庫にあるドリンク、勝手に飲んでて。バスケしたら汗かいたから、私も浴びてくる」
『………』
部屋にスラムの子供を入れるなんて無警戒。
財布を放置してシャワーを浴びに行くなんて、盗んでいいよと言っている様なもの。
『………』
ただなんとなく、札を抜き取った。別にお金が欲しかったワケじゃない。
以前なら、金を手にした瞬間、買える物のビジョンが頭の中にパーッと広がったのに、今日は何も見えてこない。
『………』
パンが何個買えて、1人頭どのくらいの取り分になるか。そんな事を考えるのが楽しかった。
彼女の財布に10ドル札を1枚だけ戻したのは、パンツのお礼と皮肉を込めて。
『………』



