90'sシリーズ/外伝








シャワーは気持ち良かったけど、身体を綺麗にする意味が分からなくなっていた。

多分、ご飯を食べても同じ。どんなに美味しくても、食べる意味に疑問を抱く。








「丈が合うの無いから、短いデニムでいいよね。シャツとソックスはこの中から好きなの選びな」


『…ありがとう』







リビングのソファーに置かれた着替え。

彼女はきっと今、私は良い事をしている。と優越感に浸っているだろう。







「冷蔵庫にあるドリンク、勝手に飲んでて。バスケしたら汗かいたから、私も浴びてくる」


『………』








部屋にスラムの子供を入れるなんて無警戒。

財布を放置してシャワーを浴びに行くなんて、盗んでいいよと言っている様なもの。








『………』








ただなんとなく、札を抜き取った。別にお金が欲しかったワケじゃない。

以前なら、金を手にした瞬間、買える物のビジョンが頭の中にパーッと広がったのに、今日は何も見えてこない。







『………』








パンが何個買えて、1人頭どのくらいの取り分になるか。そんな事を考えるのが楽しかった。

彼女の財布に10ドル札を1枚だけ戻したのは、パンツのお礼と皮肉を込めて。








『………』