リングの方へ歩み寄ると、女は私の姿に気付き、ボールを手にこちらに近づいて来た。
「ハーイ」
『………』
両肩に掛かる程度のワンレン黒髪を中心で分け、妙に大きなサングラスを装着する足の長い女。
ジーンズに白いシャツを着た、ラフな格好をする彼女は立ち止まる私の前に詰め寄った。
「ここら辺の子?」
『………』
「…ありゃ?英語通じない?
あなたは~ドラえもん好きですか~?」
『………』
観光客が足を踏み入れる様な場所ではないし、おそらく外国から移住したばかりの世間知らず。
「あぁ~…ニーシーナーグォーレンヌェア?」
『…それ、ウォーレンの……』
「……?」
ボールを指差しながらそう言うと、女はボールをヒョイッと投げ渡してきた。
「なんだ、英語喋れるじゃん。中国?」
『…日系』
「ああ、なるほど。
どうりで発音がネイティブな訳だ」
『………』



