90'sシリーズ/外伝








リングの方へ歩み寄ると、女は私の姿に気付き、ボールを手にこちらに近づいて来た。








「ハーイ」


『………』







両肩に掛かる程度のワンレン黒髪を中心で分け、妙に大きなサングラスを装着する足の長い女。

ジーンズに白いシャツを着た、ラフな格好をする彼女は立ち止まる私の前に詰め寄った。








「ここら辺の子?」


『………』


「…ありゃ?英語通じない?

あなたは~ドラえもん好きですか~?」


『………』







観光客が足を踏み入れる様な場所ではないし、おそらく外国から移住したばかりの世間知らず。








「あぁ~…ニーシーナーグォーレンヌェア?」


『…それ、ウォーレンの……』


「……?」







ボールを指差しながらそう言うと、女はボールをヒョイッと投げ渡してきた。








「なんだ、英語喋れるじゃん。中国?」


『…日系』


「ああ、なるほど。

どうりで発音がネイティブな訳だ」


『………』