90'sシリーズ/外伝







ケイティに不安を吐き出すと、なんだか呼吸が整う様な気がして安心する。

そりゃあ、離れようか悩んでいるなんて、本人達に相談なんて出来ないけど。







「私はさあ、その30ドルを手にした日、身体だけでこの広いニューヨークを買える気がしたの。

ガキなりに、愛も金で買える街って肌で感じていたし、金を沢山稼いで幸せになるって誓った」







会う度にタバコの銘柄が変わるケイティ。

移り気なのか、それとも寂しがり屋なのか。








「努力はしたよ。

チャンスがあれば掴もうと手を伸ばしたりもした。

でも、何も変わらなかった。それが私の人生。


今更、ニューヨークを買うなんてバカげた事は言わないけどさ、せめて好きな男に抱かれて、ライクアヴァージンでも聴きながら死にたいよね」


『………』







今日のケイティは、いつもより少しお喋り。

なんだか機嫌が良さそうだ。








「マドンナはね、35ドルを手にニューヨークにやって来て、神よりも有名になるって誓ったの。

たった5ドルのスタートの差で、私だけ神様にソッポを向かれたなんて考えたくないし、誰も恨んじゃいないけど、つくづく人生ってのは不平等だよね」


『そうだね』


「マドンナが選んだ道は、多分、どれも正解だったんだろうね。

美も才能も根性も、全てが備わっている人間の35ドルと、ただ目の前に広がる摩天楼が綺麗だったからといって、それを手にしようと決めただけの何も持たないガキの30ドルの始まりとじゃ、最初から勝負は決まっていたっていうだけの話。

ごめんね、ただの愚痴」


『愚痴を吐くわりに、なんかご機嫌だね』


「まあね。エレナが遊びに来てくれたからかな」


『私もケイティと会えてご機嫌だよ』