ケイティに不安を吐き出すと、なんだか呼吸が整う様な気がして安心する。
そりゃあ、離れようか悩んでいるなんて、本人達に相談なんて出来ないけど。
「私はさあ、その30ドルを手にした日、身体だけでこの広いニューヨークを買える気がしたの。
ガキなりに、愛も金で買える街って肌で感じていたし、金を沢山稼いで幸せになるって誓った」
会う度にタバコの銘柄が変わるケイティ。
移り気なのか、それとも寂しがり屋なのか。
「努力はしたよ。
チャンスがあれば掴もうと手を伸ばしたりもした。
でも、何も変わらなかった。それが私の人生。
今更、ニューヨークを買うなんてバカげた事は言わないけどさ、せめて好きな男に抱かれて、ライクアヴァージンでも聴きながら死にたいよね」
『………』
今日のケイティは、いつもより少しお喋り。
なんだか機嫌が良さそうだ。
「マドンナはね、35ドルを手にニューヨークにやって来て、神よりも有名になるって誓ったの。
たった5ドルのスタートの差で、私だけ神様にソッポを向かれたなんて考えたくないし、誰も恨んじゃいないけど、つくづく人生ってのは不平等だよね」
『そうだね』
「マドンナが選んだ道は、多分、どれも正解だったんだろうね。
美も才能も根性も、全てが備わっている人間の35ドルと、ただ目の前に広がる摩天楼が綺麗だったからといって、それを手にしようと決めただけの何も持たないガキの30ドルの始まりとじゃ、最初から勝負は決まっていたっていうだけの話。
ごめんね、ただの愚痴」
『愚痴を吐くわりに、なんかご機嫌だね』
「まあね。エレナが遊びに来てくれたからかな」
『私もケイティと会えてご機嫌だよ』



