その日の夜は眠れなかった。
仲間達を起こさない様、外へ出た私は、スラム内を散歩した。
「ようエレナ、どこ行くんだ」
『ハーイ、スミス。日本人はお喋りなアイリッシュは嫌いらしいわよ』
「悪かったよ。知らねえなんて言えないだろ、同じスラムに住んでて」
何も考えずに歩くと、足は自然と歩き始め慣れた方へと向かい、私はバスケットボールに座りながらボーッとリングを眺めた。
『……。』
これからはバックボードに空いた穴を見る度に、心が煩わしく揺れ動く。
どこへ行き、何をすれば無心で生きれるのだろう。
(…一人で生きるには過酷な街…か)
私の場合、誰かと生きても過酷な街。
せめて男に生まれていたら、このシナリオも少しは楽に進められたのに、神様はとことん面倒な人生を与えてくれた。
『銃でも習おうかな、マックスに』



