「美咲先輩〜 時代錯誤しちゃってますね。そのセーラー服の刺繍。 今時、硬派って古くないですか?」 中学の卒業式。 校門の前で大量の花束を手に持ち、みんなに囲まれる私。 八代美咲。 背後から声をかけ私に近寄ったのは、後輩の京介。 京介の手には、 私の好きな華が一本だけ握られていた。 「ば〜か。 この渋さが分からない奴は、一生私の彼氏になれねーよ」 「あはは。 卒業おめでと、先輩」 卒業式用にウェーブをかけた私の自慢の金髪に、 京介は一本のバラを刺して笑った。