オブラート










痛くない。







私が傷つくぶんには、何も怖くない。





こんなことに、何を今まで怖がっていたの。











「…酒くさい、どいてよ」








私は父親の髪を掴み、身体をひねって抜けだし、立ち上がった。










「痛く…ないんだよ…


あんたの…暴力なんか…」





「…あんただと?


親に向かってなんて口の利き方だ!」




「うるせーんだよ!!」




「!?」





「あんたに殴られる痛みなんか…


明菜や拓真が居なくなった事の痛みに比べれば…

痛くもなんともねーんだよ!!」









私はそう怒鳴り、

玄関の傘立てを廊下に投げつけ、再び家を飛び出した。