オブラート








「…明菜、歩けるか?」



「…うん」






拳で殴られたらしい明菜が、泣きながら拓真に返事をすると、父親がリビングへ戻ってきた。







「なんなんだ貴様らは!警察を呼ぶぞ!」



「…呼べよ」







リン君が、父親にゆっくりと振り返る。








「警察が来てまずいのは、俺達なのか……」



「なんだと?」



「自分の子供なら、殴ろうが殺そうが犯罪じゃねえのかよ…

バカみてえに殴りやがって…」







初めて見る、リン君の冷たく凍りついた、不良の目。




リン君がゆっくりと父親に詰め寄ろうと歩き出した瞬間、拓真がそれを止めた。






「リン、そんなのにかまうな。

手当てが先」



「……。」