尚美~最後のレディース








形は同じだが、先ほどのゼッツーとはカラーが違う黒いZ1に、

私は引き寄せられる様にゆっくりと歩み寄り、


値札に書かれたZ900という文字に視線を移しながら、再び千秋さんに聞いた。









「これも…ナナハンですか?」




「いや、900。

思いっきりZ900って書いてあるじゃん」




「……。」









この黒いZ1が、もしも男だったら、


私は間違いなく、初対面でも結婚して下さいと口にしている。









「…ナナハンと900って、

どっちが凄いですか?」









Z1のシートに手を置き、スピードメーターの辺りを見つめながら、静かに聞いた。









「そりゃ、900だろ。

排気量だけなら」




「……。」